不妊症・不育症

着床


私たちヒトは、1回の月経周期(25~35日)の間に、1回、標準で1個排卵するといわれています。
実際には排卵が起こってから約2週間後に月経(生理)が来るようにできています。例えば、月経が28日周期のヒトは14日目に排卵があり、その後2週間すると生理が来ます。


自然妊娠では、卵巣にある未成熟の原始卵胞が毎月10個程度成長していきます。次第に一つの主席卵胞が成長し、排卵が起こります。そのほかの未熟な卵胞は、体内に吸収されてしまいます。一方、性交により膣から進入してきた精子は、膣、子宮、卵管を泳ぎきるだけの元気な精子だけが卵子と出会うことができます。精子にとって膣内は、pHが酸性であることや、精子を異物と判断する免疫系が存在するなど、過酷な環境なのです。精子は射精後2~7日生きるとされていますが、受精に望ましいのは5~6時間後から1日半後くらいまでです。排卵された卵子は卵管の端(卵管采)にキャッチされ、卵管を移動している間に、元気な精子と出会い、受精します。排卵後、受精するまでの時間は6時間までが望ましいとされています。(24時間程度は卵子は生きているようです。)卵管は卵子と精子の出会う場所なので、卵管が何かの原因で詰まっている場合は妊娠が成立しなくなります。卵管内で受精が起こると、受精した刺激でその卵子は分割を始め、分割しながら子宮へ移動します。十分な厚さまで成長している(つまりフカフカのベッドのような)子宮内膜に受精卵が到達し、子宮内膜にうまくくっつくことができる(着床する)と妊娠の成立となります。

 

不妊症の原因

 

代表的なもの

産婦人科学的には、「定期的な性生活を送り、特に避妊などをしていないのに、2年以上妊娠しない場合」を不妊症と言いいます。
前述の「妊娠の仕組み」のどのステップが欠けても、妊娠は成立しません。ただ単に、タイミングが合ってないケースも大変多いものです。しかし、それ以前にお母さん、お父さんそれぞれの妊娠にかかわる体質に問題がある場合もあります。

 

(母側)

無月経:3ヶ月以上月経がなくなってしまうと病的な無月経と判断されます。

無排卵:無排卵は基礎体温を測ってみて、高温相と低温相の2相に分かれずに、1相性の場合、無排卵の可能性が高いです。

※無月経、無排卵は、体調不良、無理なダイエット、精神的ストレスで起こりうると言われています。

病気(子宮頸がん、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣のう腫、卵巣腫瘍、卵巣がん)

ホルモンの異常:エストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)が何らかの原因で調子が悪い場合。

ピックアップ障害:卵管采が卵巣から飛び出た卵子をうまく捕らえられないケースがあります。

卵巣年齢・子宮年齢が高い:実年齢とは異なるケースも多く見られます。

卵子の老化:受精しても、分割がうまくいかなくなるケースが増えます。

 

(父側)

射精障害(ED):糖尿病や精神的原因が多く考えられています。

無精子症:精母細胞はあっても精子に成長しない場合と、精母細胞がもともと見つからないが場合があります。

精子の異常:精子に奇形があると、卵子の硬いからを破れません。

精子数が少ない、精子の運動率が低い、など。


代表的なものを上げてみましたが、不妊の原因は本当にさまざまです。

治療の技術が進歩してきていますので、病院での検査は重要です。

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不育症

不育症とは、妊娠(受精卵の着床)はするものの、流産や死産を繰り返す状態のことです。「習慣性流産」といわれることもあります。妊娠22週までになんらかの異常で胎児がなくなってしまうことを流産といい、それ以降は死産となります。そのうち、流産のほとんどは妊娠が成立してから10週まで、いわゆる初期流産が起こっています。一般的に自然流産は10~15%の確率で起こってしまいますが、流産や死産を2回以上繰り返すと不育症といわれています。

流産の原因で一番多いものが受精卵の染色体の異常で、流産の約70%くらいといわれています。他にも、胎盤で血栓ができてしまう人もいます。抹消の細い血管に小さな血栓が生じやすい体質の場合、妊娠初期の胎盤に小さな血栓がたくさんできて、胎児への血行が悪くなるために流産してしまいます。抗リン脂質抗体症候群といわれる体質の方が、代表例といわれています。

もし、抗リン脂質抗体症候群が原因の場合は、血栓予防に低容量のアスピリン服用や、ヘパリン(血液抗凝固薬)の注射を行います。

不育症の検査は受精卵の染色体異常の検査や、血液凝固系、免疫系の検査があります。しかし、免疫系の不育症は無数に原因があるといわれ、判断が難しいのが現状です。

また、甲状腺の病気がある人も流産しやすいと言われています。病名としてはバセドウ病や橋本病です。例えば甲状腺ホルモンが不足すると卵胞が育たず、排卵がおきないのです。

甲状腺ホルモンを正常になるようにするには、内服薬での治療があります。