腰痛の解説

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腰の特徴

 文字にも靱帯を表す“月(にくづき)”に要(かなめ)と書くほど、体の中の大事な部分です。

日常生活でも思いのほかに腰に負担がかかっています。重いものを持つときはわかりやすいですが、立ち仕事でも座り仕事でも、上体を維持しているのは腰です。 腰は上体と下肢をつなぐ“要(かなめ)”の部分で、「腰椎」と呼ばれる脊椎(背骨)が通っていて、それは関節や靱帯につながって、また周りの筋肉も腰を支えています。 健康な姿勢では背骨が“S字カーブ”を保っていることがよく知られています。

腰の筋肉に柔らかさがあるときは、このS字カーブがしっかりと作られ、カーブがあるからこそ、衝撃や重力に対応できます。

また、腰には腎臓、子宮や卵巣などの大切な臓器があります。腰に近いところには胃や胆のう、すい臓もあります。それぞれに機能の異なる複数の臓器が存在するのも、腰の特徴です。

前述の腰を構成している腰椎、骨自身の損傷でも腰痛を引き起こします。また関節や靱帯、もしくは筋肉の損傷も腰痛を引き起こします。

また臓器の異常、不具合でも腰部に痛みを感じることがあります。 腰痛の原因はさまざまであり、またその人ひとりとってみても、原因が複数の場合も多いです。

さらに腰痛を感じ始めると腰をかばうような姿勢をとり始めます。 悪い姿勢は筋肉や神経、末梢血管を圧迫します。

痛みが痛みを引き起こし、腰痛が慢性化しやすいと考えられます。

腰痛の原因

腰痛の原因は実にさまざまで、また原因が複合的に絡み合っている可能性も高く、原因を一つに絞るの難しいのが腰痛の特徴とも言えます。

以下に代表的なものを上げますが、これらの原因により脊髄や脊髄から出た神経に圧迫や損傷を起こすと痛みが出るのです。 また、腰痛には急性のものと慢性のものとあることを頭に置いておいてください。 (坐骨神経痛については、別記事を参照してください。)

筋肉疲労…主に同一姿勢や同じ作業を続けたことによる筋肉疲労によりおこる腰痛のこと。 重いものを持ったり、立ちっぱなしや歩き通しの仕事は要注意です。また、実は座りっぱなしも腰に体重をかけ続けることなります。 生活習慣によるもので、慢性の腰痛となります。

骨折、打撲…しりもちをつくなど大きな衝撃があると腰部の骨折や打撲で急性の腰痛が起こることはわかりやすいと思います。 特に高齢の女性では骨粗鬆症により骨がもろくなることで、何もしていないのに腰椎の圧迫骨折を起こす可能性が高まります。

椎間板の異常…椎間板は脊椎骨どうしの間にある、クッション機能を働かせるゴム風船のようなものですが、これがはみ出す椎間板ヘルニアは年齢を問わず起こる可能性があり、 ヘルニア状態になると脊柱管を圧迫することになり、痛みが出ます。椎間板の異常にはこのほかに腰椎分離すべり症や、ぎっくり腰があり、急性で起こることもあります。

脊柱管の狭窄…加齢により、椎間板の水分が減少しクッション機能が低下することにより変性すると、骨棘という突起ができてしまい、これが神経を刺激します。

内科、泌尿器科、婦人科領域の病気…がんや胃潰瘍などで、内科的に腰部に近い臓器に異常があると、腰痛の症状が出ることがあります。泌尿器系は尿路結石や腎臓、膀胱の病気は腰痛として症状が現れることが多いです。 また、女性は婦人科系の病気も臓器が腰部にあるので、生理痛がひどい場合も注意が必要です。

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